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    ごろごろする石の上を下駄ばきでは歩きにくかつた。房一は川から上つたまゝの濡草履をはいているので速い。盛子は空からになつた追鮎箱を手にして後からついて行つた。

    が、練吉が駆け登つたのを見ると、先方の男は急に威丈高になつて怒鳴つた。

    「うん、うん。あ、さうだ、顔を一寸洗はなくちや」

    川では鮎漁がはじまつていた。

    「まさか!」

    「いや、わしは出んぞ」と叫んだ。

    「もう着てみましたか」

    「うん、あの程度だと別に影響はないんだらう」

    房一がそこへ出るのと、さつきの二人が表から入つて来るのと同時だつた。

    「千光寺さんに使ひをやつたのかい。――誰もまだ行かないつて?――何あんて間抜けだのう。庄どん、お前一つ行つて来とくれ。提灯ちやうちんを忘れるなよ。もう皆さんがお集りですからお迎へに上りました、つて云ふんだよ。うん、うん、さうよ。いつしよにお伴をしておいで」

    「いや、何もしたといふわけぢやない。これから先きのことだよ。かゝり合つちやいかんと云ふんだ」

    「御焼香を。――どうぞ、お近いところから御順に」

    遠くの方で誰かが呼んでいた。

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